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消費財化した「感動」/名言作家養成塾 

ブロック A
 近頃、(ちまた)では「涙本(なみだぼん)」が流行しているそうです。要するに「泣ける本」のことであり「泣くための本」のことでもあるらしいのですが、何だか数年前に一世(いっせい)を風靡(ふうび)した癒しブームのマイナーチェンジ的な既視(きし)感を覚えるのは、筆者【拾壱】だけでしょうか。それにしても、癒しブームのときも何気に思ったのですが、癒しの必要が少ないストレスフリーな社会作りを志(こころざ)すのではなく、癒しさえも普(あまね)くビジネスの具にしてしまおうとする拡大資本主義的な発想には、正直いって閉口(へいこう)してしまいます。

 おそらく、自宅と職場(学校)の往復みたいな「同じ毎日」の繰り返しに何らかの刺激を求めているとか、人間関係が希薄(きはく)になって社会が殺伐(さつばつ)としてきたところへ一服の清涼剤を!…といった時代背景に基づくニーズ(需要)へ供給サイドが応じているだけなのでしょう。

 しかし、それをメディアが大々的に取り上げて助長もしくは煽動(せんどう)することで、余計に屈折した一過性のブームが事あるごとに再生産されているような気がしてなりません。もはや、マスメディア発! 日本特有の「お決まりのパターン」と言えなくもないわけですが、曲がりなりにも創作や芸術の分野に関わる一個人として、本という文化芸術作品が(内容の是非を問わず)軽々(かるがる)しい扱いをされている現状は、嘆かわしい限りです。

 さらに、涙を流すことはストレス物質の排泄(はいせつ)につながり健康に良いからといった大義名分を持ち出して、「泣くための会」を結成する人たちまで現れる始末。もちろん、彼らの理念動因を完全に把握しているわけではないので決して全否定はしませんが、本を読んで感動したから泣くのではなく、泣くために本を読むという本末転倒した奇行(?)に諸手(もろて)を挙げて賛同することもできない…というのが偽らざる本音です。

≫≫ 以下のブロック(↓)に続く


ブロック B
 そして、このような現象の一端(いったん)にこそ、実はベストセラーが「不名誉な称号」だということの証左垣間(かいま)見えていると言えましょう。つまり、普段は本を読まないけれど流行の本などは「とりあえず」読んでおくといった、本を単なる「消費財」としてしか扱わず読み捨てにする人たちの支持(?)なくしては成立しない称号…という意味です。ご覧なさい。中古のブックセンターには、発売日の数日後に大量の新刊本がズラリと並んでいるではありませんか。すなわち、それらの本はベストセラー作品なのに「再読の価値なし」という引導を渡されたわけです。

 この事象を逆手(さかて)に取ると、新古・中古書店に殆(ほとん)ど置いていない本こそが「真の良書」であると言えなくもありません。もちろん、絶対的な販売点数の多寡(たか)や自宅での蔵書量の限界という観点も加味すると一概には決め付けられませんが、作り手にとっても読み手にとっても「流れ作業」のような需要と供給のビジネスに特化せざるをえない出版業界の現状は、好ましくない方向へ盲進つつあるような気がしてなりません。

 とはいえ、そんな偉そうな御託(ごたく)を並べている当の自分も、消費されない不朽(ふきゅう)の名句が詰まった…ずっと手元に残しておきたくなるような本を提供できているわけではないので、未来の読者の皆様や真のベストセラー&ロングセラー作家の方々さえ敵に回しかねない発言は厳(げん)に慎(つつし)まねばならないところですけれど、自称・講師となった今も「感動の安売り」ではなく読み手の中に眠る哲学的な素質を呼び覚まし啓蒙(けいもう)できるような作品を発表していけたら…と慮(おもんぱか)っていることだけは一応の事実です。

 そして、ゲストの皆様の中に筆者【拾壱】の指摘の中で思い当たる節(ふし)のある方がいらっしゃるようであれば、作家と読者がお互いを高め合っていけるような関係性を目指して…読み手は一時的な流行やメディア戦略に踊らされることなく自分が本当に読みたい(読むべき)本を手に取り、書き手は便乗商法や大衆迎合的な壁本(かべぼん)の出版で文化を破壊しないように心がけねばなりません。もちろん、自戒の意を込めて!【完】

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